——書類選考ではどのような点を意識されましたか？

佐藤：電気工事の経験がなかったので、「未経験でも挑戦する意欲」を前面に出しました。特に、志望動機には力を入れましたね。

具体的には、「電気という目に見えない力を安全に制御する技術に興味がある」という点や、「インフラ整備を通じて社会貢献したい」という思いを強調しました。また、学生時代に電子工作のサークルに所属していたことや、DIYで照明器具を作った経験なども記載しました。

それと、多くの電気工事会社が「人手不足」と「技術継承」を課題としていると調査で分かったので、「長く働きながら技術を習得したい」という点もアピールしました。

——履歴書や職務経歴書で工夫した点はありますか？

佐藤：未経験でも持ち味となる「論理的思考力」や「チームでの協調性」を具体的なエピソードとともに記載しました。例えば、前職でのトラブル対応の経験や、問題解決のプロセスを詳しく書き、電気工事でも活かせる能力をアピールしたんです。

また、応募先の会社のホームページをしっかり研究して、その会社が得意としている工事分野や企業理念に共感する部分を見つけ、書類に反映させました。「なぜうちの会社なのか」が伝わる履歴書を心がけましたね。

——面接ではどのような質問がありましたか？

佐藤：まず「未経験だけど、なぜ電気工事なのか」という点を深く掘り下げられました。また、「体力的にきつい仕事だけど大丈夫か」「高所作業は怖くないか」など、現場での実務に関する質問も多かったですね。

印象的だったのは、「失敗したときにどう対処するか」という質問です。電気工事は安全が最優先なので、ミスの対応力や報告の仕方を重視されていることがわかりました。私は前職でのミス対応について正直に話し、「隠さずすぐに報告する姿勢」をアピールしました。

——面接官の印象に残るためにどんな工夫をしましたか？

佐藤：事前に電気工事の基礎知識や専門用語を調べて、会話の中で自然に使えるようにしました。また、「第二種電気工事士の資格取得に向けて独学で勉強している」ことも伝えて、意欲をアピールしましたね。

それから、質問の最後に「現場ではどのような工具を使うことが多いですか？」「一人前になるまでにどのくらいの期間が必要ですか？」など、自分から質問することで積極性をアピールしました。面接官の方は「知識を吸収しようとする姿勢」を高く評価してくれたようです。

——入社して驚いたことや大変だったことはありますか？

佐藤：最初の3ヶ月は体力的にきつかったですね。日中の現場作業で疲れ切って、夜は勉強する余裕もなく寝てしまう日々でした（笑）。でも、徐々に体が慣れてきましたし、先輩方も「無理するな」と気遣ってくれました。

あとは、電気工事の専門知識の奥深さに驚きました。学校で学ぶ電気の知識と、実際の現場での応用は全く違います。配線一つとっても、建物の構造や用途によって施工方法が変わるんです。

——やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか？

佐藤：大きなプロジェクトが完成した時は特に達成感がありますね。例えば、新築マンションの電気工事を担当した時、最後にすべての照明が点灯した瞬間は感動しました。「この建物に住む人たちの生活を支えているんだ」と実感できるんです。

それから、先日は独立して開業した先輩の現場を手伝いに行ったんですが、「佐藤、お前に任せたい仕事がある」と言われた時は嬉しかったですね。技術が認められた証拠だと思いました。

——これから電気工事業界を目指す人へのアドバイスをお願いします。

佐藤：まず、体力と忍耐力は必要です。でも、それ以上に大切なのは「学ぶ姿勢」だと思います。この業界は技術革新が早く、常に新しい知識が求められます。特に今はスマートハウスやIoT関連の知識も必要になってきています。

それから、コミュニケーション能力も重要です。現場では様々な業種の職人さんと協力して作業するので、円滑な人間関係を築けるかどうかが仕事の質に直結します。

資格については、第二種電気工事士は最低限取得しておくべきですね。その後、実務経験を積みながら第一種電気工事士や電気主任技術者などの上位資格を目指すといいと思います。

最後に、電気工事の仕事は決して楽ではありませんが、社会インフラを支える誇りのある仕事です。困難があっても「人々の生活を支えている」という自負を持って取り組めば、必ず道は開けると思います。