手に職をつけるという選択

書類選考では“経験の浅さ”をどうカバーするか？

「未経験だからこそ、どうして電気工事士を選んだのか。その理由を自分の言葉でしっかり書きました」
そう語るのは、24歳の佐藤さん。現場アルバイトの経験や、ものづくりへの関心をストレートに伝えることで、書類選考を突破しました。

一方、30代からの挑戦となった村上さんは、「年齢やキャリアのギャップを隠さず、学んできたこと・変わろうとしている姿勢」を伝えたそうです。訓練校での取り組みや現場実習の内容も、しっかりアピールポイントに。

面接で見られているのは“技術”だけじゃない

「やる気があるか、本気か。そこを見られていた気がします」
そう語る佐藤さんは、資格の勉強状況や、現場でのやり取りの経験を具体的に伝えました。

村上さんも、「体力は？ 男性が多い職場でも大丈夫？」といった現実的な質問があったといいます。それでも自分の不安や覚悟を正直に伝えたことで、かえって信頼を得られたと振り返ります。

働き始めて感じた“現場のリアル”

2人が口を揃えて語るのは、「最初は覚えることが多くて戸惑った」ということ。しかし、それを乗り越える支えとなったのが、現場の“人”でした。

「先輩が気にかけてくれた」「小さなことでも褒めてくれた」
現場の厳しさの中にある、人との信頼関係。これが、仕事を続けるモチベーションになっているようです。

電気工事の世界は、技術と責任が問われる厳しい分野です。けれど、その分だけ「できるようになる喜び」や「仕事が形に残る達成感」も大きい。

佐藤さんも村上さんも、それぞれの立場からこの業界に飛び込んで、少しずつ「職人としての一歩目」を踏み出しています。

もし今、あなたが電気工事士という仕事に興味を持っているなら——。大切なのは、経験の有無ではなく、「覚悟」と「熱意」かもしれません。